コピーライター養成講座

今でもはっきりと覚えております。あれは私が小さな広告制作会社に勤務していた時の出来事でございます。年はまだ二十五歳ですから、社会のいろはも分からない年頃でした。その会社での私の肩書きは、一応コピーライターという事で、日夜、広告のコピーをシコシコと書いておりました。新聞広告に雑誌広告、パンフレットにカタログ、チラシなどなど。あと、商品のネーミングやキャンペーンのスローガンなんかも書きましたね。その会社に就職する前に、私は宣伝会議というところが主催していた『コピーライター養成講座』に参加してたんです。そこでコピーの一から十を習いました。そして、いざ現場に出てみたんですが、そこではちょっと様子が違ってた。本来なら、コピーライターはコピーだけを書いていればいいはずなんですが、なにぶん吹けば飛ぶような小さな制作会社でございましたから、スタッフの頭数にも限度がありまして、私はコピーライターの他にもプランナーという肩書きも持ち合わせておりました。このプランナーの方のお仕事は、いろんなイベントの企画と運営を任され、ホント忙しい日々を送ってましたっけ。朝から夕方にかけてはクライアントへ打ち合わせに回り、夜は会社でコピーを書きまくる。じゃあ、いったいいつ寝るの、って話になりますが、実際の話、あんまり寝てなかったんじゃないかな。当時、広告に携わる人の過労死なんてものが話題になりましたが、分かるような気がします。今考えると懐かしい限りです。今、私は独立して一人で仕事をしてるんですが、最近めっきり仕事が減ってしまって。トホホホ、です。来年は息子の高校進学が控えてるってのに。まして私立に入りたいんですと。まったく親泣かせですよ。ちょっと横道に逸れてしまいましたが、当時はけっこう忙しかったんです。でも、けっして苦ではありませんでしたね。自分で選んだ道でしたし、仕事自体楽しかった。だからやれたんですね。

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